○平川市子育て短期支援事業実施要綱
令和6年3月29日
告示第58号
平川市子育て短期支援事業実施要綱(平成2年平川市告示第84号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 この告示は、保護者の疾病その他の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合、子育てに係る保護者の負担の軽減が必要な場合及び経済的な理由により緊急一時的に親子を保護することが必要な場合等に住民に身近であって、保護を適切に行うことができる施設等において一定期間、養育・保護その他の支援(保護者の心身の状況、児童の養育環境その他の状況を勘案し、児童と共にその保護者に対して支援を行うことが必要である場合にあっては、当該保護者への支援を含む。)を行うことにより、これらの児童及びその家庭の福祉の向上を図ることを目的とした子育て短期支援事業の実施に関し、必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この告示において、次に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 実施施設 乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、保育所及びファミリーホーム等保護を適切に行うことができる施設をいう。
(2) 里親 青森県から提供されるショートステイ里親名簿に登録された者をいう。
(3) 調整機関 児童と里親家庭のマッチングなど、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第11条第1項第2号に掲げる業務を包括的に行う機関をいう。
(4) レスパイト・ケア 里親等に子どもを一時的に預けることで児童のケアを代替えし、保護者に心身の休息をもたらすことをいう。
(5) エンパワメント支援 児童、家族、地域や外部支援者との関わりを通じて、保護者の育児を行う力や育児における課題への対処能力を高めていくための支援をいう。
(実施主体)
第3条 平川市子育て短期支援事業(以下「事業」という。)の実施主体は、平川市とする。ただし、市長が適切と認めた者に委託することができる。
(事業の内容)
第4条 市長は、保護者が疾病、疲労その他の身体上若しくは精神上又は環境上の理由により家庭において児童を養育することが一時的に困難となった場合、子育てに係る保護者の負担の軽減が必要な場合、保護者の育児不安や過干渉等により、児童自身が一時的に保護者と離れることを希望する場合及び経済的な理由により緊急一時的に親子を保護することが必要な場合等に実施施設において養育・保護を行うものとする。また、必要に応じて、親子を短期間入所させ、次の各号に掲げる支援を実施する。
(1) 保護者のレスパイト・ケア
(2) 育児不安の解消や養育技術の提供等のための相談・支援
(3) 育児・家事等の協働による保護者のエンパワメント支援
(4) その他親子支援に資する取組
2 児童自身が一時的に保護者と離れることを希望する場合、受入れを行った実施施設は、児童のケアを行うとともに市や関係機関と連携して保護者の抱える課題や意向を丁寧に確認し、親子関係の改善に向けた調整に努める。
(対象者)
第5条 この事業において対象となる者は、市内に住所を有し、次に掲げる事由に該当する家庭の18歳未満の児童又は親子等とする。
(1) 児童の保護者の疾病
(2) 育児疲れ、慢性疾患児の看病疲れ、育児不安など身体上又は精神上の事由
(3) 出産、看護、事故、災害、失踪など家庭養育上の事由
(4) 冠婚葬祭、転勤、出張や学校等の公的行事への参加など社会的な事由
(5) 経済的問題等により緊急一時的に母子の保護を必要とする場合
(6) 養育環境等に課題があり、児童自身が一時的に保護者と離れることを希望する場合
(7) レスパイト・ケアや児童との関わり方・養育方法等について、親子での利用が必要であると市長が認めた場合
(利用の期間)
第6条 養育・保護の期間は、当該保護者の心身の状況、当該児童の養育環境その他の状況を勘案して市長が必要と認める期間とする。ただし、市長が必要があると認める場合には、必要最小限の範囲内でその期間を延長することができる。
(実施施設等)
第7条 この事業は、あらかじめ市長と事業の委託契約を締結した実施施設及び里親(以下「実施施設等」という。)が実施するものとする。里親を委託先とする場合は、利用ごとに市と里親との間で委託契約を締結する。
2 市長は、前項の規定による申請書等を受理した時は、速やかに内容を確認するとともに児童の適応性や利用期間、利用頻度、健康状態など委託先の決定に必要な情報について聴取し、実施施設等の受入れ可否を確認する。あわせて、調整機関に対して、利用申込みの内容及び委託先の決定に必要な情報について提供する。
3 市長は、直接又は関係機関を通じて、児童から利用の相談を受けた場合は、当該児童の意向や家庭・養育環境の状況を丁寧に確認し、本事業の利用が必要であるときは、調整機関と検討の上、受入れ可能な実施施設等の調整を行う。
4 市長は、当該児童の保護者に対して、受入れを行う実施施設等や利用日数等の必要な情報提供を行い、一時的に児童を受け入れることについて保護者の同意を得るとともに、家庭・養育環境の状況把握を行い、本事業以外の家庭支援事業等の提供も含めて必要な支援策の検討を行う。
5 市長は、保護者の同意が得られない場合は、児童相談所と連携の上、児童の安全・安心が脅かされるおそれのあるときは、一時保護を含めた支援の検討を行う。
(委託先の決定)
第9条 委託先は、市長と調整機関が協議の上決定することとする。
2 市長は、利用申請の結果を平川市子育て短期支援事業利用決定通知書(様式第2号)により、利用申請者に通知するものとする。この場合において、市長は、事業の利用を決定したときは、当該決定通知書の写しを実施施設及び調整機関に送付するものとする。
3 申請者は、事業の利用内容を変更しようとするときは、市長に平川市子育て短期支援事業利用変更申請書(様式第3号)を提出しなければならない。
(里親への委託)
第10条 市長は、里親からの夜間休日を含む緊急の相談に適切に対応できるよう、県と協議の上、あらかじめ緊急時の連絡体制を整備しておかなければならない。
2 里親へ委託する児童数は、里親1組当たり委託する児童を含め4人までとする。すでに委託されている児童がいる場合は、4人からすでに委託されている児童数を除くものとする。
(児童の移送)
第11条 児童の実施施設等への送迎は、保護者の負担と責任において行わなければならない。ただし、第5条第6号の規定に該当する場合は、送迎の方法について実施施設等と協議を行う。
(経費の負担等)
第12条 この事業の利用に要する経費は、児童1人につき1日当たり500円、保護者1人につき1日当たり500円とする。この場合において、1日当たりとは0時から24時までをいい、24時間に満たない日があるときは、その日を1日として換算する。
2 実施施設における保護者分の飲食物費等は、保護者が負担するものとする。
3 保護者は、市長の請求に基づき、利用料を支払うものとする。
4 保護者は、利用期間中にやむを得ず要した医療費、移送費等の経費を負担しなければならない。
(実績報告)
第13条 実施施設は、毎月10日までに前月の利用状況を平川市ショートステイ利用状況報告書(様式第5号)により市長へ報告するものとし、里親は、毎月7日までに前月の利用状況を同報告書により、調整機関へ提出し、終了報告を行うものとする。
2 調整機関は、里親からの報告を受け、毎月10日までに平川市ショートステイ事業における里親の活用報告書(様式第6号)により、市に対し里親の利用報告を行うものとする。
(委託料の請求)
第14条 実施施設等は、当該児童及び親子等の保護に要した経費について、平川市子育て短期支援事業委託費請求書(様式第7号)により、市長に対して請求するものとする。
2 委託料は、2歳未満の利用者1人当たり1日8,650円、2歳以上の利用者1人当たり1日4,740円、保護者の利用1人当たり1日1,200円とする。
(県への報告)
第16条 市長は、本事業を里親へ委託した場合は、子育て短期支援事業における里親の活用報告書(様式第8号)により、県に対し、委託した里親及び委託期間等を報告するものとする。
(利用勧奨)
第17条 市長は、事業の利用が必要と認められる者について、その利用を勧奨しなければならない。
2 利用勧奨については、原則として、児童福祉法第10条第1項第4号に基づく計画(以下「サポートプラン等」という。)が作成された者や他の自治体や児童相談所から引き継いだ児童等事業の実施が適当であると認められた者について、平川市要保護児童対策地域協議会の個別ケース検討会議等において必要な支援策やサポートプラン等の検証、支援策の提案方法などを検討の上、行う。
3 サポートプラン等が作成されていないものの、支援の必要性が高く、速やかに支援が必要と認められ、近く要支援児童等となる可能性が非常に高い状態となっている者であり、かつ、必要な支援内容が明らかである者については、例外的にサポートプラン等がなくとも利用勧奨を行うことができる。ただし、その際は、事後にサポートプラン等を作成するものとする。
4 利用勧奨は、口頭による通告又は家庭支援事業の利用勧奨通知書(様式第9号)により行うこととし、支援の経過記録等に利用勧奨をした背景、理由、状況及び結果等を記録する。利用勧奨の結果、利用の意思が確認できた場合には、通常の利用申請と同様の方法で利用申請、決定を行う。利用の意思が確認できない場合や支援の受入れを拒否する場合は、支援の必要性や期待できる効果等を伝え、利用につながるよう努める。
5 他の自治体や児童相談所から引き継いだ児童については、特に連携の必要性が高いと考えられることに留意し、他の自治体や児童相談所へ必要に応じて報告するものとする。また、支援の必要性が高いと考えられるにもかかわらず、利用勧奨に対して保護者が強く拒否し、必要な支援に結びつかない場合には、他の自治体や児童相談所と積極的に連携し、ケースの状況に応じた必要な支援が提供されるようにする。
6 利用勧奨による事業の利用開始に当たっては、実施施設等に対して、必要に応じてサポートプラン等の内容を事前に共有することとする。
(利用措置)
第18条 市長は、利用勧奨しても利用することが著しく困難な場合は、利用の措置を行い、支援を提供することができる。
2 措置は、利用勧奨を実施したにもかかわらず、対象者の社会経済的状況に変化が見られず、疾病その他やむを得ない事由により利用申請を行うことができない等、事業を利用することが困難であると市長が認めた場合に行うものとし、利用勧奨の状況も踏まえ、サポートプラン等の見直しを行い、平川市要保護児童対策地域協議会の個別ケース検討会議等において検討、決定する。ただし、利用措置は事業の利用を明確に拒絶しているものではないと市長が認めた場合に行う。
4 他の自治体や児童相談所に対しては、必要に応じて報告するものとする。ただし、措置を試みたものの、対象者が明確に反対の意志を表した等により必要な支援に結びつかない場合であって、支援の必要性が高いと判断されるときには、他の自治体や児童相談所と積極的に連携し、ケースの状況に応じた必要な支援が提供されるようにする。
5 措置による利用開始に当たっては、利用する実施施設等に対して、必要に応じて対象者の状況やサポートプラン等の内容を事前に共有する。ただし、措置による支援の提供期間の満了前に対象者の支援の提供理由の消滅、転出、死亡等によって措置による支援の提供を解除した場合は、保護者に対して家庭支援事業措置解除通知書(様式第12号)により通知する。
(市の責務)
第19条 市長は、この事業の実施に当たって、本事業の周知徹底を図らなければならない。
2 市長は、実施施設の受入れ態勢等を常に把握しておくなど事業の円滑かつ効果的な運営に努めなければならない。
3 市長は、利用の申請があった場合には、速やかに決定し、特に緊急を要する場合にあっては、利用の申請等の手続を事後とするなど申請者の利便性を考慮し、弾力的な運営に努めなければならない。
4 市長は、ひとり親家庭や低所得者世帯(生活保護世帯、市町村民税非課税世帯)、保護者が障害を有する家庭、本事業による支援が児童虐待防止の観点から効果的と考えられる家庭など、特に本事業の利用が必要と考えられる家庭から利用の申請があった場合には、優先的に取扱うなど特別の配慮をしなければならない。
5 市長は、事業の実施に当たって、利用する者及び関係者の安全性の確保に十分配慮しなければならない。
(個人情報の取扱い)
第20条 市長は、事業の実施に当たり、対象者に関する情報を必要な関係機関と共有するとともに、適切に管理しなければならない。
2 実施施設等は、児童の最善の利益を実現させる観点から、児童及びその保護者等の対応及び個人情報の保護について十分配慮するとともに、正当な理由なく、その業務上知り得た対象家庭等の情報を漏らしてはならない。委託業務を修了した後やその職を退いた後においても、同様とする。
(委任)
第21条 この告示に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この告示は、令和6年4月1日から施行する。